※先に「大陸一の豪槍」をご覧下さい。
また、上記の素敵小説のイメージを壊されるのが嫌な方は見ないようお願いします。




























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「優秀な私が優秀な魔道書を預けられるのは至極当然の成り行きですが、少し意外にも思います。王族というのは、保守的で格式を大切にするものだと理解していました」


  



 一人のんびりと徒歩で敵軍に向かう魔道士の娘──ルーテは、起伏に乏しい淡々とした口調でそう呟いた。先頭を走るエフラムを追いかけるラーチェルの白馬もすでにかなり先行しており、ミルラを乗せたシレーネの天馬は遥か空の上だ。


「この辺りでしょうか」

 まだ敵軍からの矢も届かないような位置で、ルーテは足を止める。そうして、エフラムに託された一冊の魔道書を開いた。
 その瞬間、目もくらむような膨大な魔力の奔流が古びた魔道書の頁から立ち昇る。それに直撃されたルーテは、常の超然とした表情をわずかに歪めて歯を食いしばった。

「これは……」

 風。周囲を薙ぎ払うような勢いで吹き荒れるそれが、少女の二つに結った髪を跳ね上げ、弄ぶ。ともすれば手から吹き飛んでしまいそうな魔道書を必死に押さえ、ルーテはゆっくりとその場で両足を肩幅に広げて固定した。



「……どうやら、六十二段階の五十九番目くらいに扱いが難しいようですね。さすがはエフラム様。これは優秀な私にしか使いこなすことは出来ないでしょう」














※本文より一部抜粋






挿絵もどきその1(笑)。
描きたい場面がてんこ盛りで迷いましたが
5人で突撃シーンがめちゃツボだったので。


□色塗り→ペインター7
□加工・仕上げ→フォトショ7