※先に「大陸一の豪槍」をご覧下さい。
また、上記の素敵小説のイメージを壊されるのが嫌な方は見ないようお願いします。






















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 真剣な話から一転、辛辣な声音で言われ、エフラムは脱力した。
 ここは戦場なのだ。汗どころではなく、血の匂い、臓腑の匂い、果ては皮製の馬具の匂い、馬そのものの野生の匂い、あらゆるものが交じり合って、混沌とした匂いの漂う場所である。

「君だって似たような──」

 ドズラたちが遅れていないか確認しがてら振り返り、そう言いかけたエフラムは、しかし半分麻痺した自分の鼻に甘い花のような、場違いな香りを確認して口をつぐんだ。
 そのエフラムの態度に、ラーチェルは小首を傾げて彼の背中をぺしぺしと叩く。
「なんですの?」


「いや……君は、良い香りがするな」
「なっ!?」
 不躾に鼻をくんと鳴らすエフラムに、ラーチェルの頬にサッと赤味が差す。思わず、背中を叩く力を強めて少女は声を荒げた。



「い、いやらしいですわ! あなた、もっとレディに対する態度を学んだ方がよろしいのではなくて!?」
「わ、悪い」
 確かに雑談が過ぎた。反省したエフラムが顔を引き締めて視線を前に戻すと、ラーチェルは彼の後ろで居心地悪そうに身じろぎした後、
「ドズラ、レナック、もっと急ぎなさいな。引き離されていますわよ!?」
「おっと、これは失敬。ほれ、レナック、もうひとふんばりするぞ」
「すげー理不尽な八つ当たりっぽい気がするのは、俺だけか? 俺だけか!?」
 徒歩で騎馬の移動についていくだけで称賛されても良いのだが、ラーチェルにはそのような常識は通用しない。急き立てられ、レナックは口の中で文句を言いながら一層足を早く動かし始めた。


※本文より一部抜粋









挿絵もどき2.
相乗りシチュだけでもドキドキハアハア(´Д`*)なのに、
ラーチェルの匂い嗅ぐ&こんなくさい台詞をさらりと
吐いちゃうエフラムにはもう、もう…っ!